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『なよたけ』

1月7日〜12日

加藤道夫 作

『竹取物語』はこうして生まれた。
世の中のどんなに偉い学者達が、どんなに精密な考証を盾にこの説を一笑に付そうとも、作者はただもう執拗に主張し続けるだけなのです。
「いえ、竹取物語はこうして生まれたのです。そしてその作者は石ノ上ノ丈麻呂と云う人です。・・・」
(加藤道夫)

いっそ夢であってくれと願うような現実があります。
たとえば「1943年の東京にいた日本の一青年」にとってそれは苦く辛い、理不尽な、いのちを脅かす、激しい怒りの対象、或いは悔やまれてならない、そんな現実。
一方で、現実になってほしいと切に祈る夢があります。
たとえばそれは、恋…。「恋とはただ一つの魂を烈しくもひそかに呼び合うことだ」と「青年」はその劇作の中で言います。そして夢と現実のあわいで「…あたし達だけが本当に生きている。…こうしている時だけが、本当にいのちと云うことなのね。…ただ、このしあわせな時の間だけがすべてなんだわ。」と「なよたけ」の赫映姫が、現世での命数が尽きる(「人の世のなべてのものに望みを失った」)数分の逢瀬に大いなる愛を自覚する瞬間―夢も現実も超え「生きることよりも、死ぬことよりも、もっともっと大切なことを」と願求した加藤道夫青年の心事が結晶するのです。
現実に隷属することを拒んだ先の美妙な幻想。
そこに演劇の「真実の本源」を求め、その理想に生き、殉じた、加藤道夫氏の、これは遺言にして預言の書、そして何より目映い青春の劇。その理想を共有する人々と、この「なよたけ」に取り組み、2009年初頭の東京に「劇詩人」の言魂を響かせたい、と私は考えたのです。
(山本健翔)

スタッフ
加藤道夫
構成・演出 山本健翔
美術 三谷昇
音楽 土井啓輔
衣裳 カナイヒロミ
照明 清水義幸
音響 越川徹郎
舞台監督 小川信濃
演奏(尺八)

土井啓輔

初演時(S30年)なよたけ役 松下砂稚子さんの せっかくの ご参加が叶わなくなり衷心より無念でございます。

キャスト

高橋和久(A) 齊藤裕加(B)
北川能功(A) 樋口武彦(B)
佐藤学二(A) 奥山隆(B)

志村彩佳

石倉いづみ 川崎光 川崎剛
長島京典 飛翠 渡邉宇蘭

青井陽治(A) 広瀬彰勇(B)
世古陽丸 山本健翔

饗場さやか 岩崎聡子 大澤舞
加藤史也 川嶋信子 佐久間隆行
関田敦 田中覚 谷口明大
原川愛 林田和久 久行敬子

川辺久造
三谷昇

公演日程
2009年1月7日〜12日
  7(水) 8(木) 9(金) 10(土) 11(日) 12(月)
14:00   
19:00   

※ダブルキャスト
※開場は開演の30分前

チケット

前売:3,500円
当日:4,000円
シニア(65歳以上)・学生:2,500円
高校生:1,500円
中学生以下:1,000円
(日時指定・全席自由)

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