もうおれは死んだ、と小十郎は思った。そして、ちらちらちらちら青い星のような光が、そこいらいちめんに見えた。
「これが死んだしるしだ。死ぬときに見る火だ。熊ども、ゆるせよ。」と小十郎は思った。
小十郎の死骸を囲むようにひれ伏すいくつかの黒い塊。
おそらくその中には、小十郎に親兄弟を殺された熊も、小十郎を殺した熊もいるだろう。
小十郎の死骸は、ひれ伏す黒い塊は、「私」そのものなのだ。
日本というなめとこ山に、いま生きる「私」なのだ。
構成・演出 | : | 谷口秀一 |
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出演 | : | 花柳面 タズ・ブレザー 折田克子 ケイタケイ |