『森に入る 詩を書く』
2018年3月5日(月)
タイの女性詩人チラナンの詩と講演
タイで絶大な人気を誇る女性詩人、チラナン・ピットプリーチャー来日
チラナン・ピットプリーチャーは1970 年代前半、チュラーロンコーン大学で「大学の星」に選ばれ、民主化運動に参加。白色テロを避け、学生運動の指導者セークサンとともに中国経由でラオスに到り、武装訓練を受ける。タイ・ラオス国境の森で6 年間にわたり、タイ国軍との武装闘争に従事。その間に出産。1980 年に恩赦により投降し、バンコクに帰還。 コーネル大学に学び、森での苛酷な日々を描いた詩集『消えてしまった葉』を発表。第11回東南アジア文学賞を受け、詩集としては異例のベストセラーとなった。ちなみに「葉」とは、闘争中の通称。 チラナンは現在、詩人、エッセイスト、博物館学芸員、映画の字幕制作と、さまざまな領域で活躍。仏教を究め、環境保護運動に深く関わって、「タイ社会に大きな影響力をもつ100 人の女性」の一人に選ばれた。 このたび、四方田犬彦と櫻田智恵による日本語訳の刊行を記念してチラナン自身が来日。シアターX では、詩の朗読と、その詩世界、学生運動やその後の人生を語る講演(参考映像上映あり)、横浜国立大学ではシンポジウムがおこなわれる。
夢には美しい虹が現われたためしがない
焦げつく憂鬱を忘れ 歓喜した日もない
誰かさんの甘い言葉などいらない
ゴマカシの価値など欲しくない
「目標」より
そして生命は緑の若葉 柔らかく 濁りもなく
ゆるやかに反転して 温和な日差しに震えている
最初の葉はいたわりしぐさ
葉は芽吹き 重なり合い やがて大地に落ちる
「生命と条件」より
出演 | : | チラナン・ピットプリーチャー(詩人) |
---|---|---|
司会 | : | 四方田犬彦(映画史・比較文学研究、詩人) 櫻田智恵(タイ現代史、京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科特任研究員) |
通訳 | : | 福冨渉(タイ文学研究、鹿児島大学講師) |