Χカイレパートリー劇場

さくら の その にっぽん

2010年1117日(水)〜23日(火・祝)

多和田葉子かきおろし ひらがな戯曲の演劇詩!


2010年秋11月の初演と更なる上演続行に向けて。

 人類の歴史は定義しなおされる時機にきているのでしょう。
 いまや ロパーヒン的価値観だらけとなり“世界同時・禍”の今! それはタテ線でつないだご先祖様の墓守の美徳ではなく、各国各地をヨコ線がつなぐマネーの枷枷枷……檻檻檻の強力なるベルトラインに捲かれている。
 だから わたしたちの想像力は、近代を超える「後・近代」をめざし、孕み 彷徨する旅へと。不快な悪阻にもたえ、やがての陣痛を期待して……。
 この多和田葉子さんの作品を、いわば「さくらの道行(みちゆき)」的喜劇とするのか、あるいは悲劇とするのか。誘導するのは演出家ルティ・カネルさんと、彼女による稽古のプロセスで 鋭く感覚を研ぎすまさせられた俳優14戦士たちとが、バトルして形象化すること。

 企画構想に4年をかけ、ようよう2010年秋11月に初演する『さくら の その にっぽん』は、その先も シアターXカイ レパートリー劇場としての更なる新新・上演の続行を決めました。それは日々刻々、ラジカルに激変している この転形期世界の状況をチャンスとして捉え、にっぽん伝統の俄(にわか)芸のひらがな精神に基づくパフォーミング・アーツを創造をこころみ続けたいからでもあります。

シアターXカイ
 

作者 多和田葉子

「さくらのそのにっぽん」について 俳優さんたちへ
 ひらがなは、目をつぶって手探りで日本語のかたちを障りながら進みます。まるで遠いところからやってきた旅人のように。いつも見慣れている日本語の文章では漢字とかなが混ざっています。漢字の意味を道標にして、ひらがなはその「繋ぎ」としてしか意識せずに読んでいくことが多いと思います。漢字は発音しなくても意味が分かります。たとえば「飛行場」という漢字を見ると、発音してみるまでもなく意味が分かってしまいます。まるで記号か絵でも見るように、目が「飛行場」という単語を一瞬のうちに絵としてとらえ、意味に置き換えてしまうのです。でも「ひこうじょう」とひらがなで書いてあった場合は、ちょっと立ち止まるのではないでしょうか。読めるけれども馴染みの薄い文字を読むように、子供が絵本を音読するように、注意深く、期待に満ちて、ほんの少しとまどいながら、「ひこうじょう」と発音してみることになるかもしれません。「ひ」という響きの中に何が聞こえるでしょうか。まだ見たことのない世界への飛躍でしょうか。「こう」で滑り、「じょう」で摩擦しながら上昇していくかもしれません。(多和田葉子)

こちらもお見のがしなく!

第9回 恒例 シアターXカイカバレット
『まっかな おひるね』

121日(水)19:00 前売3,500円

多和田葉子自身の朗読とベルリンでも人気のジャズピアニスト 高瀬アキとのセッション。

■多和田葉子 プロフィール
作家。1982年からドイツ在住、2006年より在ベルリン。ドイツ語と日本語で書く。
ドイツ語圏だけでなくヨーロッパ、アメリカ各地で自作朗読、これまでの朗読回数は600回を越える。『犬婿入り』で93年芥川賞を受賞したほか、ドゥマゴ賞、谷崎潤一郎賞、シャミッソー文学賞やゲーテ・メダルを受賞。
シアターΧでは「晩秋のカバレット・シリーズ」として、高瀬アキ(ベルリン在住)のジャズピアノと自作朗読とのパフォーマンスを、2001年チェーホフをモチーフにした『ピアノのかもめ/声のかもめ』以来、『ブレ.BREGHT』(2003年)、『脳楽と狂弦』(2005年)、『飛魂T』(2007年)、『宇治拾遺』(2009年)などを毎年上演。

演出 ルティ・カネル

イスラエルの演出家ルティ・カネル Ruth Kanner

シアターXカイでの仕事

2002年
『野ねずみエイモス』

ブレヒト原作
2005年
『母アンナ・フィアリングとその子供たち』
2007年
『新 母アンナ・フィアリングとその子供たち』

2007年
『エウニメデス』ギリシャ劇より

■ルティ・カネル プロフィール
演出家。1955年イスラエル生まれ。テルアビブ大学舞台芸術学部、ニューヨーク大学、ニューヨークHBスタジオにて演技と演出を学ぶ。80年代には独立演劇集団ハヨットを設立。1990年以降、テルアビブ大学芸術学部演技科主任教員を務め、現在に至る。ルティ・カネルシアターグループとして活動、『At Sea』『Case of Muder』などヨーロッパやアメリカでも公演。
2002年9月シアターXの招聘公演『野ねずみエイモス』で初来日。05年にはシアターXプロデュースで日本人俳優による『母アンナ・フィアリングとその子供たち』(吉田日出子主演)を演出。07年再演(主演は二代目 大浦みずき)。同年、同じくシアターXで ギリシア劇『エウメニデス』を演出した。また、2006年以降、毎年ワークショップを行っている。

出演
真那胡敬二 高川裕也 吉田敬一 谷川清美 山上優 キムテイ 庄崎真知子
ケイタケイ 武井よしみち 石田知生 木室陽一 ハンダイズミ 佐藤学二 板津未来
スタッフ
演出助手大谷賢治郎
企画文芸佐藤京子  多和田葉子  ルティ・カネル  上田美佐子
演奏アヴシャローム・アリエル Avshalom Ariel(イスラエル)
照明アイカワマサアキ
舞台監督西村竜也
イラスト田村登留
企画・製作シアターXカイ
公演日程

2010年11月17日(水)〜23日(祝・火)
  17(水) 18(木) 19(金) 20(土) 21(日) 22(月) 23(火・祝)
14:00   
19:00    

★11月23日アフタートーク(作者の多和田葉子さんも参加)
※開場は開演の30分前

チケット

3,500円
シニア・学生 2,500円
高校生 500円
(全席自由)
[チケット取扱]
シアターΧ

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