Χカイレパートリー劇場
樋上千寿+シアターΧ

『東欧ユダヤ音楽・クレズマー演奏会』

2024年212日(月)

シャガールが愛した、故郷の旋律 vol.17

Yiddish Music Special Concert 2024
伝統と創作

ジョエル・エンゲル作曲「ディブック組曲」
 マーク・コヴナツキーVn. & YAT Yiddish Ensemble
佐藤 芳明 作曲「Nignの主題による7つの変奏曲」 佐藤 芳明 Acc. 新倉 瞳 Vc.
ワークショップ講師陣による特別演奏、ワークショップ成果発表、他

出演
アラン・ バーン[Pf.&Acc.]
マーク・コヴナツキー[Vn.]
吉田佐由美[Dance]
佐藤芳明[Acc.]
新倉瞳[Vc.]
磯部舞子[Vn.]
関島種彦[Vla.]
長谷川慧人[Cb.]
ふーちん[Perc.]
濱島亮太[Fl.])
樋上千寿[Cl.&解説]

近代ユダヤ・アイデンティティとしての芸術
―― 新たな創作源としての「第二のトーラー」

ユダヤ人国家建設を目指したシオニストと異なり、ユダヤ民族の固有性の確立を芸術の可能性によって目指した人物がいた。 それが、シュロイメ・アンスキー(1863〜1920)である。彼は、ユダヤ人の新たな精神的アイデンティティとなるべき近代ユダヤ芸術創造の源は、シュテットルに伝わる豊かな民間伝承であると考え、古来よりユダヤ民族がその創造の源としてきた「トーラー」になぞらえて、それを「第二のトーラー」と呼んだ。
生者の身体に憑依するという「ディブック(悪霊)」伝説を題材としたアンスキーの戯曲『ディブック(悪霊)―二つの世界の間』(1915頃)は、ウクライナでのシュテットル調査で収集した民間伝承を創作源とし、シュテットル文化の神秘的特性に、アンスキー自身の思想的遍歴から獲得された感性による独自の解釈が融合された先駆的成果となった。アンスキーから『ディブック』上演の“唯一の資格者”と指名されたシャガールは、この戯曲に描かれた精神世界を「ユダヤ劇場壁画」(1920)に表現した。
いっぽう、アンスキーとともにシュテットル調査を指揮したジョエル・エンゲルは、同化ユダヤ人としてシュテットルの柵の外から内へと分け入った。イディッシュの伝承音楽に、彼が音大で学んだ“ヨーロッパ音楽”の芸術性を加味した作品を産み出していく。そして、アンスキーやシャガール同様に、伝統の再現や再生に留まるのではなく、ユダヤ固有の近代芸術としての創作物=近代ユダヤ・アイデンティティの基礎となるべき記念碑的作品が、組曲「ディブック」である。


公演日程

2024年2月12日(月) 15:00

※開場は開演30分前

チケット

1,000円
(全席自由)
[チケット申込]
シアターΧ(googleフォームに飛びます)

問い合わせ

シアターΧ

第6回 東欧ユダヤ音楽ワークショップ

2024年2月8日(木)〜12日(祝)
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